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すると紅は一つため息を吐き
「……今なら見逃します。大人しく角屋に戻り、以後この男性と会わないというのなら、命は取りません」
「そんなっ―」
「それが嫌なら!」
女性の言葉を遮り、紅は再び冷たい表情で二人を見た。
「ここで二人共、死んで頂きます」
「!!」
「どうしますか??」
涙を流しながら女性は俯く。
男性の腕を掴む腕は、震えていた。
すると今まで黙っていた男性が女性の頭を優しく叩いた。
「俺はお前と一生、生きていきたい」
「!!」
その言葉に、女性は勢いよく顔を上げた。
「お前は違うのか?」
「っ…!…っ…!」
女性は何度も何度も首を横に振った。
「うちも、俊助はんと生きていきたい……!」
女性の悲痛な叫びが響いた。
その声を聞いた男性は女性に一度、優しく笑いかけた。
そして、紅に目を向けた。
「そう言う訳で、悪いが……こいつは、鈴は渡せない!」
そう言うと腰の刀を抜き、構えた。
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