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「じゃあなテツ。」
「あ…、はい。それでは」
青峰っちが黒子っちに手をふった。
黒子っちは手をふりかえした。
俺はそれを無言で見ていた。
「………っ、」
一瞬、本当に一瞬。
黒子っちが背を向けた時に視線が絡んだ気がした。
悲しげな瞳。
気のせいだったのかもしれないが。
俺はまた後悔をした。
黒子っちを好きだと自覚してから、俺はおかしい。
意識しすぎて今までは簡単にできていたことも緊張してしまう。
手をふることさえ。
意識しすぎだ、と思う程それがすごく難しいことのように錯覚する。
だからそれを簡単にしてしまう青峰っちが羨ましくて仕方なかった。
もしかしたら青峰っちは黒子っちの事が好きなのかもしれない。
そして黒子っちも青峰っちの事が好きなのかもしれない。
…ふたりは両思いなのかもしれない。
そう考えると息をするのも苦しい程悲しくなった。
いつから俺はこんなへたれになってしまったのだろう。
一方通行なこの思いを伝えることも、諦めることもできない。
ましてや黒子っちに好きになってもらう努力なんてこともできない。
-また明日-
そう黒子っちに手をふれたら、
俺はもう少し前に進めるのだろうか。
いつかこの気持ちも伝えられるのか。
……いや、だめだ。
この気持ちは絶対に一生言える訳がない。
俺にそんな勇気ないから。
このまま黒子っちと気まずくなって友達でもなくなるのか。
……それもいいかもしれない。
せめて友達でいたいなんて思わない。
傍にいるだけで苦しいんだから。
いっそその愛しい貴方の手で俺のこのうるさい心臓を止めてください。
「黒子っちの手で死ねるなら俺、幸せっス。」
……なんてな(笑)
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