385人が本棚に入れています
本棚に追加
今すぐ倒れ込んでしまいたい……。
だが、彼の安否を知るまで倒れる事は許されない。
レディは壁に手をつきながら、一歩一歩歩みを進める。足を負傷したのかと思わせるような足取りだが、見た目はかすり傷程度の怪我しか負っていない。
彼女は外傷ではなく、精神に大きな傷を負ったのだ。体力も完全に戻っていない為、駆け出したくても身体が言うことをきかない。
視界が揺らぎ、意識が遠のきそうになると立ち止って自分の頬を引っ叩く。
パチンと大きな音が病院の廊下に響き、近くにいた人は不審そうな眼でレディを一瞥した。
だが、レディにはそんなことを気にする余裕などなかった。
こうでもしないと夢の世界に連れて行かれてしまう。
最初のコメントを投稿しよう!