序章

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 今すぐ倒れ込んでしまいたい……。  だが、彼の安否を知るまで倒れる事は許されない。  レディは壁に手をつきながら、一歩一歩歩みを進める。足を負傷したのかと思わせるような足取りだが、見た目はかすり傷程度の怪我しか負っていない。  彼女は外傷ではなく、精神に大きな傷を負ったのだ。体力も完全に戻っていない為、駆け出したくても身体が言うことをきかない。  視界が揺らぎ、意識が遠のきそうになると立ち止って自分の頬を引っ叩く。 パチンと大きな音が病院の廊下に響き、近くにいた人は不審そうな眼でレディを一瞥した。  だが、レディにはそんなことを気にする余裕などなかった。  こうでもしないと夢の世界に連れて行かれてしまう。
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