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「正子さんの元に誰か……
お父様のことを話に来た人がいるのですね」
正子さんは枕に頭を付けたまま、軽く頷きました。
「ええ。
戦地で父に片腕を落とされたと言う男がやってきたわ。
母は心臓が弱いし、対応したのは義信叔父と私。
父は戦地で発狂し、その男の腕を切り落とした上に、罪の無い現地の人間と自分の部下を斬殺したそうなの。
来家家の鬼が父に棲みついていたのよ。
そうと分かったものの、やってきた男は追い返すしかなかった……。
来家家の秘密を話す訳にはいかないし、認めることもできないもの。
その時に来家家にいた人間、そして姫無村の人間にも、鬼が復活したことは分かったはずよ。
私も叔父も、その事実に震えたわ。
けれど、父は戦地で亡くなり姫無村に戻ることはなかった……。
このまま・・・・・・再び鬼を復活させてはならないの。
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