赤い雪

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カタカタカタ…… 簡易テーブルの上のカップが音を立てています。 それは、テーブルの端を掴んでいた私の震えだと気が付きました。 私は慌ててテーブルから手を離しました。 正子さんの告白を聞きながら、私は何の相槌も打てません。 正子さんの苦しみ哀しみは、到底私などが推し量れるものではないと感じたのです。 私は…… その時、いつしか自分も悩み苦しむ日が来るとは思ってもいませんでした。 「良江さん…… 」 正子さんが赤く潤んだ瞳を、私に向けました。
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