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その後叔父の葬儀を終えた辰彦は、東京へ戻っていました。
が、冬休みを目前にした十二月の雪の日のことです……
正子さんは、降り積もった白い雪の上を……自らの血で真っ赤に染めて亡くなりました。
私はその現場を見てはいませんが、正子さんが雪の日を選んだことが何となく理解できます。
正子さんが断ち切りたかった来家の呪われた血……
自分の身体から流してしまいたがっていた、その赤い血を吸わせるのに、純白の雪山は打って付けだったに違いありません。
自らの赤い血が白い雪の中に吸い込まれていくのを、納得して見つめている正子さんの顔を想像できました。
葬儀の日に見た正子さんの顔は、眠っているかのように安らかだったのです。
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