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私が来家家の呪いを気にしていなかったか……
そう聞かれれば、全く気にしていなかったとは言い切れません。
むしろ、辰彦のことが好きだったので気にしないように努めていたのです。
正子さんは辰彦を来家家の呪いから逃す為に、来家家に戻さないようにと言っていました。
正子さんの遺言でもあるその言葉も頭に残っていました。
来家家の悲劇は、来家家を護ることを掟としていた姫無村の、つまり一族の功罪だと考えていた辰彦は、来家の名前を捨てる決心をし、結婚して桜木の名前を名乗ると言い出しました。
「確かに桜木は良江が跡取りにならなければ絶えてしまいますが、それは来家家も一緒ではないですか? 」
何も知らない母は、訝しげにそう尋ねてきました。
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