2961人が本棚に入れています
本棚に追加
ある日の夕方、山上が信男を連れて我が家へ顔を出しました。
二人の改まった様子に、母は座敷に上がるようにと促しました。
「ノブちゃん…… 」
信男が山上と共に座敷で正座している様子を見て、私も胸騒ぎを覚えていました。
「よしさん、こんにちは」
信男が他人行儀に挨拶するのが、少し腹立たしかったのです。
「こんにちはって……
今朝も顔を合わせたばかりよ。
一体どうしたって言うの」
しかし、俯いてお辞儀をするだけで、言い返してもきません。
「奥さん、お嬢さん…… 」
口を開いたのは山上の方でした。
最初のコメントを投稿しよう!