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私は興奮して涙ながらに山上の決心を変えさせようとしていました。
けれど山上の方は落ち着いていて、申し訳なさそうに首を振りました。
「そうじゃないんですよ、お嬢さん。
あっしは、この桜木家が大好きです。
だから、ずっと桜木家のことばかりを考えてきやした。
桜木家を思う余り、来家家のことでは許せねぇと感情的になったこともありますよ。
だけど今じゃあ、辰彦さんがお嬢さんと一緒にこの桜木家を継いでくださるって聞いて、ありがてぇって思ってるくらいだ。
桜木家を絶えさせてしまったら、あの世で大旦那さんが哀しんでしまいますからね。
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