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それにしても、人は人生で何度別れを経験するのでしょう。
もちろん、最後は出会った人全てと別れることになるのが運命ではありますが、私の世代の人間は子供の頃から早くもたくさんの別れを経験しています。
平和な時代に生きていると分からないでしょう。
戦争は親兄弟、友達までも奪っていきます。
私は大事な兄達や友達を失いました。
その戦争で信男と出会えたのですが、結局は又もや別れがやってきました。
今度は産まれた時から側にいた山上ともお別れでした。
「お嬢さん、そんなに泣かないでください。
与吉とは死に別れじゃありませんよ。
また、元気な顔で会うこともできるんです。
東京に親類が一軒できたとでもお思いくだせぇ」
そう言って、山上も目を擦りました。
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