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母屋の奥に建てられた離れが私達の部屋になるはずでしたが、母は私達に母屋を使うように勧めました。
「私は、もう隠居の身です。
この桜木家は辰彦さんと良江さんで切り盛りして頂きたいのです。
これからは、私は離れの方でのんびりさせてください」
ところが母は、のんびりすることもできませんでした。
私達が結婚してまもなく、心臓発作で呆気なく亡くなってしまったのです。
離れで倒れていた母を見つけた私は、気が狂ったように泣き叫びました。
まだ一緒に東京にも行っていないのに・・・・・・。
まだ全然親孝行もしていないのに・・・・・・。
まだまだ一緒にいて欲しかったのに・・・・・・。
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