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葬儀の日にも泣き叫んでいる私に、近所の人達は一様に慰めの言葉を掛けてきました。
「良江ちゃん、あんたは立派に親孝行をしたんだよ。
亡くなる前に婿取りをして、綺麗な花嫁姿を見せられたじゃないか。
親にとっちゃあ、それが一番の親孝行だよ」
けれど、どんな言葉も私の気持ちを楽にしてはくれません。
もしそれが宿命なら、私は人との別ればかりで苦しむ宿命を背負ってると言うのでしょうか。
何度この苦しみを味わえばいいのだろう・・・・・・そう思いながら、運命を呪っていました。
葬儀が終わってからも、母の遺骨と遺影を前に泣いてばかりで衰弱していく私を、一番心配していたのは辰彦でした。
辰彦は、ずっと私を見守っていてくれていましたが、何も食べない私を気遣い、そっと卵スープを差し出してきました。
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