運命

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「美味しい…… 」 卵スープは我が家に鶏がいた頃、よく作って貰った思い出があります。 山上が信男と共に東京へ行ってしまってからは、世話をし切れない為、鶏も鶏小屋も処分してしまっていました。 久しぶりの卵スープは、たくさんの人達の笑顔を思い出させます。 鉄雄兄さん、歳三兄さん。 妙ちゃん、涼ちゃん。 与吉っつぁん、ノブちゃん。 そして、母さん……。 皆の笑顔が私に頑張れと励ましていました。 温かいスープに身も心も温められると、私はやっと隣で心配性そうに見つめている辰彦の視線に気が付きました。
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