運命

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「辰彦さん、これ辰彦さんが作ったの? 」 「ああ。 料理なんてした事もないから、お義母さんのように綺麗に卵を流せなかったよ。 固まってしまって、見栄えも良くないよね」 「ううん。 ありがとう。 ……とっても美味しい」 卵スープが空だった胃を満たし、温めてくれました。 愛情の込もったスープは、私の心にも栄養をくれたようです。 運命が私を何処に導こうとも、私には大切な人がいる。 その人の為にも、そして私も見守ってくれている亡くなった人達、遠く離れてしまった人達にも心配掛けないように生きなくては、と思いを強く持ちました。 『そうよ、良江さん。 良江さんになら、できるわ』 遺影の母が、私に向かってにっこりと微笑んだようでした。
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