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「いえいえ。
わしはちょうど暇にしてたもんで、何てこたぁないですよ。
それより先生、顔色がお悪いようですが……
大丈夫ですか? 」
神田さんが心配そうに顔を覗き込みましたが、辰彦は心ここに在らずのようです。
曖昧に返事をすると、持っていたナップザックを肩に掛けて頭を下げると車に乗り込みました。
私は日が落ちた姫無村の様子を見回していました。
すっかり村民の減った村は、あちこちに廃墟があるようです。
静まり返った姫無村には灯りは殆ど見えず、村人の存在すら、その空気の一部に溶け込んでしまったのではないかと疑える程でした。
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