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それからの辰彦は一人で物思いに耽ることが多くなり、明らかに以前の辰彦とは違っていました。
姫無村で何があったのか、聞きたくてもそれを話し掛ける隙もありません。
それだけ辰彦は自身の内側に籠ってしまっていたのです。
辰彦の心の鍵を開けるのは容易いことではありませんでした。
「貴方……?
こんな時間にどうされたの? 」
夜中に目を覚ますと、辰彦がじっと座り込んでいたこともあります。
「ああ、何でもない…… 」
そう言っただけで、また壁の方を向いて寝てしまいましたが、私の不安は増すばかりでした。
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