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「良江、すまない。
君の兄さん、桜木家の跡取りを殺したのは・・・・・・僕の父だったんだ。
叔父が父の部下だった者から聞いたことが記されていた。
桜木鉄雄・・・・・・間違いない。
君の兄さんだよ」
辰彦がそれを知ってはいけないはずでした。
母とも、そして山上や信男とも、これは私達だけの秘密にして欲しいと約束してもらっていたのです。
正子さんは父親が戦地で部下を殺したことだけを聞いたと言っていました。
鉄雄兄さんの名前までは聞いていなかったはずです。
きっと、来家のことを調べていた義信叔父は、その話を聞いた後で、また自分から接触したか調べたかで名前を知ったのでしょう。
知らないことが平和なこともあるのです。
知ってはいけなかったのです。
再びの悪夢が私の元に戻って来てしまいました。
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