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ノートには辰彦の苦しい思いが吐露されていました。
辰彦は私に話した通り、自分自身が狂うことを恐れていたのです。
自分の手が、流された血で染まる夢を何度も見て、自分の中にある狂気の欠片に気が付いたとも記されています。
いつか我心を失って鬼と化してしまう前に・・・・・・、自分が自分である内に、自らの命に責任を果たしたいとありました。
明らかに辰彦は自殺を考えて家を出たのです。
私は慌てて駐在所に電話を掛けました。
神田さんにも、そして東京にいる一人息子の修平にも連絡を入れました。
誰でもいい、誰か辰彦さんを止めて欲しい……。
辰彦さんを死なせないで……。
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