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駐在さんと神田さん親子が相次いで、我が家にやって来ました。
駐在さんはメモを取り出して私に詳しい事情を聞いてきます。
「桜木さん、先生が自殺を仄めかして家を出たって、それは何時頃のことですか」
「朝食を食べ終わって、暫くしてからです。
十時頃だったでしょうか…… 」
駐在さんは書くペンを止めました。
「十時?
何故、今まで届けなかったんですか。
もう夜の八時になりますよ」
辰彦は何も言わずに家を出たのです。
けれど、来家家の呪われた血で狂うことを恐れていたなどとは話せません。
ましてや、全てを書いてあるノートを他人に読ませる訳にはいきませんでした。
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