連鎖

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修平は私の話に驚きながらも、とにかく夜が明けたら自分も捜しに出ると言って、その晩は自分の部屋で休みました。 私は部屋で一人、辰彦のノートを抱き締めていました。 辰彦はもうこの世にいないのだと、悟ってしまったのです。 涙が零れてきて、やがて抑えられなくなった感情は嗚咽になって溢れ出てきました。 辰彦が苦しんでいたのに、助けてあげられなかった自分が悔しくて仕方ありません。 辰彦は狂ってなどいなかったと…… それは今でも断言できます。 その後、町の噂では辰彦は狂人にされてしまいましたが、ただ狂うことを恐れるあまり激しく苦しんでいただけでした。 来家の狂った血は、辰彦には症状を出すことはなかったのに……辰彦は早まった死を選んでしまったのです。 翌日も朝から皆が辰彦を捜し回りましたが、辰彦を見つけることはできず、ようやく辰彦が見つかったのは二日後のことでした。
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