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葬儀や初七日も終わり、蝉の声だけが響いてくる我が家の座敷で、私は遺骨と共に並べられた辰彦の遺影を見つめていました。
「母さん・・・・・・ 」
修平が襖を開けて座敷に入って来ました。
「また父さんのところにいたんだね。
父さんが何かを悩んでいたのを、息子の僕も気が付かなかったよ。
母さんだって止められなくて当たり前だ。
もし父さんの死のことで、母さんが止められなかった自分を責めているのだとしたら、それは違うよ。
親子だろうと夫婦だろうと、人の心の中まで推し量ったり変えたりすることは、なかなかできないからね」
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