鬼の遺伝子

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修平は東京の学校を卒業すると、家に戻り地元の役所に勤め始めました。 その後、本人が宣言していた通り、学生時代から付き合いのあった綾子さんと結婚をしたのです。 綾子さんは優しくて、とても性格の良いお嫁さんで、同居している嫁姑にありがちな軋轢が生まれることもありませんでした。 夫婦仲も良く、取り立てて問題もなかったのですが、ただ一つだけ・・・・・・綾子さんには悩みがありました。 それは、なかなか子宝に恵まれなかったことです。 けれど私はと言うと、綾子さんにはもちろんのこと、息子の修平にすら言えませんでしたが、孫が欲しいと思ったことはありませんでした。 息子夫婦との三人の生活が、何の問題も起きずに続いてくれれば、それで良かったのです。
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