鬼の遺伝子

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綾子さんは妊娠を確認後、毎日笑顔で幸せそうでした。 生まれてくる赤ちゃんの為にと、産着を手縫いで作っている横顔は、母になる喜びに溢れていました。 そんな綾子さんのお腹に視線を送りながら、私は来家の血を怖がっていた辰彦の言葉が頭から離れません。 綾子さんと一緒に、縁側から庭に出ようとした時でした。 私は滑りやすい庭石を見つめていました。 もし、あの石で綾子さんが滑って転んだら…… お腹の子供だけ流れて、綾子さんは無事でいられるのではないかしら……。 一瞬過ぎったそんな妄想は、綾子さんが本当に庭石で足を滑らせたことで消え去りました。
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