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修平は私の目を見ています。
修平の痛い視線を感じながら、私は話したくなかった話を修平に打ち明けるしかありませんでした。
「私が子供の頃……
太平洋戦争の真っ只中、南方の戦地で現地民を殺そうとした上官から現地の女の子を守った兵隊がいたの。
その兵隊は、上官にその場で日本刀で処刑されたそうよ。
処刑された兵隊は私の兄……桜木家の跡取だった。
そして、殺した上官は来家家の当主、貴方のお祖父さんだったのよ……。
私はその事実を知りながら、貴方の父さんと結婚した。
だけど、父さんは知らなかったの……自殺する少し前まではね。
父さんは、その事実に一番衝撃を受けたのだと思う。
ずっと知りながら隠していた母さんも……父さんを追い詰めた責任があるのよ」
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