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いつ敵の銃弾に撃ち抜かれるか、それともジャングルの中で飢え死にするか、小隊を指揮していた来家小隊長の精神状態はギリギリだったのでしょう。
そこで現地民の村を発見する……やっと食糧を確保できた小隊長は、それまで正気を保っていた精神の糸がぷつりと切れてしまった……狂った理由は、今では想像もつかない過酷な戦地での精神的圧力だったのかも知れないのよ。
母さんね、全てを来家の血の所為と考えるのは間違っていると思う。
父さんも、父さんの姉や叔父も狂ったりしていなかった。
誰がどんな噂をしていようと、母さんは知っている。
修平も他人の噂に惑わされない強い人間になりなさい。
母さんは、それを貴方に言いたかったのよ」
私は、辰彦に言えなくて後悔した言葉を修平にぶつけました。
来家の人間に起きた悲劇の連鎖を何としてでも止めたかったのです。
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