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離れの入口に着いた私は、目の前の光景に崩れ落ちました。
「あ、綾子さん……
い、一体……
しゅ、修平……おまえ…… 」
離れは床も壁も天井までも……
真っ赤に汚れ、そこでの惨状を物語っていました。
「母さん、来るな!
来ないでくれ。
綾子を殺したのは俺だ……。
俺も綾子の後を追う。
どうか、許してくれ」
修平の手には赤く濡れた果物ナイフが握られています。
「修平!
馬鹿なことは止めて頂戴! 」
しかし、興奮している修平には私の声も届かないようです。
「母さん、お願いだ。
このまま生きていてもどうしようもない。
死なせてくれ。
京子のことを頼むよ、母さん…… 」
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