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女の私が一人でやるには大変な作業です。
けれど、何とか丸二日掛けて息子夫婦を埋めた私は、その場所に表の庭に植えてある沙羅の木を一本移植しました。
それは綾子さんが気に入っていた庭木だったからです。
世間には息子夫婦が失踪したことにしました。
神田さんにも駐在さんにも同じ話をしました。
半年経った頃に、まさか息子夫婦まで自殺したのではないかと言われたので、綾子さんから一度電話があったのだと嘘を言いました。
息子夫婦の失踪は、親の私に連絡が入ったことで事件として考えられずに済んだのです。
これで孫の京子に真実を知られることなく、無事に育て上げなくては……そんな私は自分勝手過ぎたのだと思います。
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