そいつはやって来た。

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部屋の中、机に座り頭を抱えていた。なんだったのだあれは。うーん、天女の衣装を着たお姉さんが、演劇で宙吊りになる練習をしてたんだ。あのベースも小道具に決まっている。 そう思うことで、現実的な解釈に逃げ込んだ。が、この島でギターを持っているだけで彼女は珍種なのに、演劇なんてやってる人間がいるはずがない。 「あー、おかげでご飯ものどとおらんし」 ごはんは、三杯食べていた。 そうこうしてると、急に窓がカタカタなって、ビクッとした。 「なんじゃあああああ、、あれ、ブチさんじゃないか」 ブチが窓をカリカリやっている。 「お前、ここまでよう来たな。仕方ない入れたるわ」 窓を開けると、勢いよく入ってきた。 いつも会う御堂からこの家までは、それなりの、う~ん2~3キロくらいの距離はある。よっぽど腹が減ったんだな。そうヨーコは思った。 「ちょっと待ちよれ、エサ持ってくるけ」 そう言って、部屋を出ようとしたが、ブチは今度は自分で窓を明けて出ていった。 「なんだアイツ。今度会ったら背中にガムテープ貼ったるわ。ん?手紙じゃ、なんやろ、これ。アイツが持ってきたんか?」 机に便箋がおいてあった。さっきまでそこで伏せていたので、ブチが持ってきたことには違いはなかった。 恐る恐る、その手紙を開く。
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