月にむかって吼えるのさ

2/5
前へ
/5ページ
次へ
「言ってなかったけど…、俺オオカミ男なんだ」 男子寮から少し離れた場所にある女子寮。 いつものようにコッソリ忍び込んだ恋人の部屋で、俺は唐突に告白した。 すると彼女は驚く素振りも見せず、 「うん」 と、拍子抜けするくらいアッサリと頷いた。 大騒ぎしてくれとは言わないけど、もっとリアクションがほしいと思うのは贅沢だろうか。 「なあ…、驚かないのか?」 「驚いてほしいの?」 「え…と……」 可愛い容姿から受ける印象とは裏腹に、なんともクールな反応だ。 俺と違って何かにつけて大人だと思っていたが、ここまで達観しているとは思わなかった。 まあ、そこが彼女の魅力の一つなんだけど♪ ただ… ちょっぴり複雑な気分なのも本当で、 『たとえあなたが恐ろしい化け物だったとしても、そんなこと関係ないわ。私の気持ちは一つだから』 な~んて夢見がちなことまでは期待しないけど、少しくらい可愛い反応が返ってきてもいいんじゃないのか?
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加