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“──なぁ、聞いてる?”
“ん、何が?”
“あ、やっぱり聞いてなかった。さっきからずっと『それ』見ててにやにやしてたからそうだと思ったよ”
“あはは……ごめんごめん”
“でも、女ってそういうのよく欲しがるよな。この前海浜で拾った貝、俺探すのにめちゃめちゃ付き合わされたから分かる”
“えーいいじゃん! キラキラしてて綺麗だよ。ワタルだって私と同じの貰ったよね”
“でも、俺そこまで大事にしそうにないんだよな……そうだ、これ売ったらすごい金に痛ったぁ!”
“絶っー対ダメ!! 認めません!”
“そ、そんなの俺の自由だろ。俺のものなんだか──”
“ダメったらダメなの! ……よし、ならワタルがそれを無くさない為にこうしよう”
夕暮れの中で、銀の髪がふわりと舞う。『彼女』はいつも通り、太陽のように目映い笑みを向けてきて、
“私と約束しよ。二人だけの秘密の約束”
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