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9月だと言うのに、刺すような太陽の陽射しに殺意を覚える。
苛立つ気持ちを抑え切れずに、思わず傍らのフェンスにパンチを食らわした。
通り過ぎる人々が怯えた表情で、遠巻きにヒソヒソと通り過ぎてゆく。
…くだらねぇ。
マジでムカつく。
頭に残る忌ま忌ましい光景。
まさか、しゅうまいのオヤジが、あのクズにソックリなヤツだなんて。
いつになっても俺に纏わり付くアイツの影が、煩わしくてたまらない。
亡霊のようなアイツの影に、ひたすら我を忘れて力任せに殴り掛かった。
全てをリセットして、俺は自分が生きるために強くなった。
生きる方法を必死で探してきたんだ。
なのに。
封印していたはずの過去が、鮮明に蘇る。
言ってしまえば俺は、義父に借金のカタに売られた。
早くに実母が亡くなってから、義父は人が変わったようになり、俺の生活は一変した。
13になる俺の誕生日、酒と暴力に落ちぶれたクズが、珍しく俺を誘ったんだ。
「飯でも食いに行こう」
腐った笑顔の裏を見抜けるほど、当時の俺は賢くなかった。
むしろ、ほんのり期待してしまったんだ。
やっと心を入れ替えてくれたんだ、と。
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