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「創、起きなさい」
身体を強めに揺さぶられ
母さんに起こされた
寝ている上半身だけ起こし
両手で体重を支えながら
辺りを見渡すと
あまり見慣れない景色が
広がっていた
畑や田んぼ、林など
自然が豊かなのが特徴だ…
と言うか辺りにあるのは
住宅以外ほぼ緑一色だ
俺が1ヶ月前に来た
憑代村と全く変わってない
創がしばらく景色を眺めてると
車の外から彼の母、亜衣子が
半袖にジーンズと
動きやすそうな服をしているのに
気がついた
多分、体育会系の母は
引っ越しの手伝いでも
していたのだろうと
母との付き合い15年間の勘が
そう告げている
その証に
母の額には大きな汗の滴が
浮かんでいた
創、自身もシャツに
汗をかいていて
ベトベトになっていた
「暑ぅ…」
手を広げてうちわの様に
自分の顔を扇いでみるが
びっくりするくらい効果が無い
むしろ熱風を自分の顔へと
誘導してるかのようだ
そんな事をしていると
亜衣子が口を開いた
「お友達が来てるわよぉ」
「は?」
創は意味が分からず
頭を捻る
当たり前の事だが
憑代村に来るのは二回目だが
友達、っと言うより
ここで子供を見たことがない
正直、こんなところには
子供と言う存在こそが
無いんじゃないかとさえ
疑問に思ってたくらいだ
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