百獣の王は月に吠える

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「おーい楓………って、お前服ボロボロじゃねーか」 ルナを背負い楓に近づく 「あ、あまり見るな!撃つぞ!あうっ!」 左肩の激痛で顔を歪める 「そ、その…左肩をやられてな……折れたみたいなんだ」 「サンキュー、楓のおかげで助かったよ」 座り込んでいた楓に右手をさしだす 「あ、あぁ…すまないな」 本能的に目線が下に落ちてしまう 「あ………」 「バ、バカー!!」 すぐさま右手にレインを握る しかし、すでに目の前には誰も居らず後ろから声がする 「そんなに元気なら歩いてついてこいよー」 声の持ち主は手を振りながら後ろを歩いていた 「ねぇ翠(ミドリ)ちゃん、あの2人かわいいよねー欲しい」 やや青く光る長い銀髪の男は3人を遠くから見て、調子よく話す 「はぁ……またですか和音(わいん)様?」 翠と呼ばれた淡い緑色の髪をした女は呆れたように返事をする 「でも、一番は翠ちゃんだよーって、あれ?」 和音が抱きつこうとすると、翠は馴れたように「はいはい」と腕を避ける ガチャ 「さぁ帰りますよ」 翠は後ろにあった白色のリムジンの後部座席の扉を開ける 「選択肢が違ったか…」 そう呟きながら車に乗り込む 車に乗り込んだ事を確認すると扉を閉めて助手席に乗り込む 「運転手さん、お願いします」 「了解いたしました翠様」 車は3人とは反対方向に向けて走り出した
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