百獣の王は月に吠える

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俺は一人で道場へと向かっていた ルナは入院が必要で、後のことは楓がやってくれるそうだ 少しずつ寒く感じ、半袖では隠せない腕を手でこする 「任務完りょーう、コンタクト悪用していた5人を本部まで転送しました」 中には逆立ちで腕立て伏せをするマスターがいた 「おぉそうか…ふ、それで、そいつらはどこでコンタクトを手に入れたんだ?」 「あ………」 腕立て伏せをやめ、マスターがこちらを睨む 「お前もしかして…」 「いや、ルナを助けるのに精一杯で…あは…やだなマスター……ダメ?」 「ふむ・・・・・今日は夕飯抜きだー!!」 グゥー……… お腹の音を手で抑えながら布団に潜る 楓にも届いたようで慌てた声で連絡がきた マスターが言うには1ヶ月後に本部から連絡がくる前にこちらで終わらしておきたかったようだった グゥー……… 「腹……へった……」 俺は力尽くように眠りについた… 「なぜ……なぜだー」 ボロボロになった服を前にいつもの格好をした楓が頭を抱えていた 楓は最近から一人暮らしを始めていた その前は道場で暮らしていた―だいたいは任務の移動先でホテルにいた― 楓は2年前の出来事で親と離れてしまった子供のうちの一人だ だからこそ、同じ境遇だった満時 月に親近感を覚えコンタクトを教えていたのだが… 楓はお気に入りだったインナーを手に取る ギリギリ破られなかったと安心していたが、品沢の最後の爆発が当たったのか真ん中が焼けて破れてしまっていた
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