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「最近たるんでいるな」
久しぶりに君と会ってから少し気持ちが浮ついていた
「べ、別に胸を見られたかも知れないからといって気にしてるわけじゃないからな!」
ボロボロな服に言い訳するお年頃な楓は、ギブスで固められた左肩を撫でると唇を噛んだ
もしあの時最初からカラーを使っていればこんなことにはならなかった…
完璧に自分の力を過信したな……
インナーを大事にしまうと電気を消して眠りにつく
「戒めだ自分への戒めとして…あの服は取っておこう」
ここは九州国第24経済特区、通称、島津
通行量の少ない夜中に、白いリムジンが走っていた
「和音様ー、今日は何をしていたんですかー?」
やや露出の激しいメイド服を着た青い髪の女は男の肩を指で突きながら色気を振りまいている
リムジンの後部座席には、6人ほど人がのれそうなスペースで
そこに和音1人を囲むようにメイド服を着た女が4人座って騒いでいる
「今日は配ったコンタクトを見に来たんだけど、ちょっと残念だったなー」
「じゃあ、私が癒してあげますよー」
トントントントン
後ろの声を聞きながら翠は苛立ちを覚えていた
「全く…何が楽しいのやら」
後ろから声が聞こえてくる
「おーい翠ちゃーん、メイド服着てこっちで遊ぼうよー」
「いきません!!やめてください!ボクが誓ったのは忠誠心だけです!」
そういうと、唯一後ろが見える小さな窓を閉める
「はぁ……」
和音に忠誠心を誓ったのは、本当だった
彼の戦いは今のふざけた様子は全くなく、冷徹で優雅であった
まさか、忠誠を誓ってすぐにこんな性格だった事に後悔したが……
翠は手元のパソコンで5つのファイルを消去する
画面にはたくさんの名前とコンタクトの文字があった
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