百獣の王は月に吠える

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目を開けると清潔感に溢れた部屋で寝ていた いったい何があったかをゆっくりと思い出す 「そうか…私助けられたのか……」 入院して1ヶ月… やっと退院することができる 毎日秋宮さんが来ては、涙目になって帰っていくの繰り返しで退屈はしなかった 今日は秋宮さんがどこかに連れていってくれるらしい しばらくベッドに座り外を眺めていると静かに扉が開く 「退院おめでとう…ルナ」 「はい、秋宮さん!」 秋宮さんは今にも泣きそうな顔で私の手をとると、力強く握ってきた 「さぁいこうか」 「うおぉぉぉぉぉ!!」 絶え間なく続く斬撃をマスターは涼しい顔をして避けていくと、ニヤッと笑い斬撃の中に拳を突き出す ドン! 早朝の森に4度目の音が広がる 「うっ…」 それは、斬撃の間をギリギリ抜けて鳩尾に食い込む 「久しぶりだから仕方ない…こんなもんだろうな」 手をパンパンと払うと、こんなもんだろうと息を吐く 「コンタクトを発動しただけなのに攻撃が当たらない…」 両手に持っている対極的な2本の刀を眺める… 白瞬義(ハクシュンギ) 真っ白な刀は黒瞬義とは真逆で、触れるだけでどんなものでも切れてしまうほど鋭利だ やっと体に馴染んできたのでマスターに相手をしてもらっていたのだが、2年間のブランクはかなり大きかったみたいで 最初は振り回されたり、ぶつかったりしていたが、1時間ほどでなんとなくまでは掴んできた 「しばらく休憩だ」 マスターはそう言って道場に向かっていく 俺はというと想像以上に疲れてしまい、大の字で倒れている 「はぁ・・・・はぁ・・・次は当てる!」 一度コンタクトを解除すると両手の刀は手の中に入るように消えていく…
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