黒い風が吹く

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次に日本はそれぞれの国を平等にするべく全国一斉に全ての人が検査を受け、学力と適正で各国に割り振っていった。 これにより家族であっても離ればなれになってしまった人も少なくない。 そして、各国に役割が与えられた。 北海道は畜産、東北は海産物、中部関東は経済、近畿中国四国は科学・工場、九州は農業 これにより効率的に生産力をあげ、そのための検査だったと発表された。 その後、身内で貿易をするようになると同時に国内移動もわざわざパスポートが必要になった 九州国・治安維持外区 九州国の中で国の手の行き届かなくなった地区だが、ここに家がある。 荒れ果てた土地に廃墟ビルがいくつかあり、その中では親から離れた子供達が集まり働けずに家もない老人達と共に過ごしている。 そこをもう少し進むと荒れた住宅街が自然に侵食されほとんど森に近くなってくる そこの奧にある古びた道場が家だ。 いつ見てもこの門をくぐると江戸時代に戻ったような気がする 玄関を入ると200人は入る居間が広がり、左右の壁にそれぞれ5個ずつ扉がある。 なので、もしトイレに行きたい場合 自分の部屋から反対側までそこそこの距離を移動するはめになる。 「すいませんマスター、めんどくさい事がありまして」 居間の真ん中で師匠は、2メートルはあるだろうその岩のような体で綺麗にあぐらをかき 顎の無精髭を撫でている 「遅い白黒!!」 ライオンの鬣のような赤い髪が空気の振動で揺れ、離れていても威圧感を覚える 「すいません!」 すぐさま走り込んで土下座をし 「てか、白黒ってやめてもらえませんか?」 頭をあげて苦笑いをする 父親の知り合いだったこの人は九州国で久しぶりに会った俺を見つけるとすぐにここに住まわせてコンタクトについて指導してくれた。 だからこそ、今でも「白黒」と呼ばれると恥ずかしくなる。
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