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空を仰ぐと、ちょっと曇り空だったけど、今すぐどうということは、なさそうだった。
念のためにと、智世が、小さなバックに、傘を放り込む。
「智、俺が、持っといてやるよ。」
「ありがとう、浩史。」
ホテルのフロントで、いくつか、硝子工房を教えてもらった。
地図を片手に、二人、街を歩いていく。
智世は、じゃれつく子犬みたいだ。
「ねぇ、後、どれくらい歩く?」
「あのなぁ、初めての場所なんだぞ…わかるわけないだろ…。」
「あっ、でも、あれっぽくない?」
「どれだ?…確かに、それっぽいな、行くぞ。智。」
そこは、小さな工房だった。
取り次ぎに出て来た女性は、恰幅がよく、とても愛想のよい人だった。
ホテルで、教えてもらったこと、工房を見学したいことを、話すと、快く中へ入れてくれた。
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