Sweet・Travel

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エミリオは、とても気さくな青年だった。 ヴェネチアンガラスのことを、いろいろ説明してくれた上で、この工房の歴史とか、職人さん達のことなんかも、快く話してくれた。 「ハネムーンですか…。いいなあ…。 私もね、一応、付き合ってる女の子が、いるんですけど…何度、プロポーズしても、いい返事を、なかなか、くれなくて…。 なにが、まずいのか…自分でも、よくわからないんですよ。」 意気投合した俺達は、なぜか、彼の恋愛相談を受けることになってしまった…。 まあ、これは、職業を聞かれて、カウンセラーだと、言ってしまったことも、関係あるのかもしれないなぁ…。 話を横で、黙って聞いていた智世が、エミリオに、言ったんだ。 「…エミリオは、押してばかりで、引かないからダメなんじゃないの? イタリアの人は、情熱的だっていうし、ぐいぐいと、押していくって、方法で、上手くいくこと、多いんだと思う…だけど、あなたの彼女…それが、嫌なんじゃないの? 彼女が、あなたのこと、愛していて、あなたのやり方で、すべていいと思うなら、とうにOKしてると思うよ…。 もし、あなたが、気に入らないなら、とうに、振られてると思うし…。 今のところ、そうじゃないみたいだから、やり方、変えればいいんじゃないのかな。 …女の子は、押し付けられるの嫌いよ。 自分を、リードしてくれる男の子に対しては、信頼度も増すし、黙ってついていくことも、厭わない。 だけど、考えや、やり方を一方的に、押し付けて来るのって、乗っかったら、楽だけど、自分の意志とか、思いは、置き去りにされちゃうのよね…。 だから、あんまり、そればっかり、やられると、嫌になるの…たまにはね、お前は、どう思う?って、聞いてほしいなって、考えちゃうの。」 「…そうだな、智世の言うこと、一理あるかもな。」
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