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「エミリオ、君は、商売するとき、駆け引きするだろう?」
「ああ…するよ。しないと、相手の言い分ばかりで、こちらに不利益な契約結ばれるから…。」
「男女の仲も、一緒さ。
君は、自分の溢れんばかりの想いを、伝えるのに必死になるあまりに、駆け引きを忘れてる。
押してばかりは、ダメだよ。引くことも、しないと。
彼女から、私と結婚してって、言わせるくらいじゃないとね。」
「あら…それは、私のことかなぁ?…浩史君?」
「いえいえ、俺は、逆に、君に、それを言わしたことを、反省するべきで…。」
「わかってるなら、よろしい。うん。」
「くすくすくす…君達、面白いね。日本人って、みんなこんな感じなの?」
「さあ、どうかな?…一度、エミリオも、日本へ来てみれば、わかるんじゃないか。」
「そうだ、彼女さんと、上手くいったら、ハネムーンは、日本へおいでよ。
私達が、いろんな所、案内してあげる!…どうかな?浩史は、どう思う?」
「いいとは、思うけど。」
「じゃあ、決まり!…エミリオ、頑張ってね!」
「ありがとう、よくよく、考えて、彼女に、もう一度、アタックしてみるよ。
上手くいったら、約束だよ、智世。…君と浩史とで、私達をエスコートしてくれるって。」
「うん、約束。」
俺達は、エミリオと、約束をした。
その後、エミリオの工房の物を、いくつか、日本へ、送ってもらうことにして、そこを、後にした。
「…イタリア人のお友達出来るなんて、思ってもみなかったよ。」
「そうだよな。一期一会…大事にしような、智。」
「そうだね、浩史。」
ぽつぽつと、雨が降り出したので、傘を一本、取り出し、さしてみる。
もう一本さそうとしたら、遮られた。
「せっかくだから、どこかのカフェまで、相合い傘しよっ♪」
智世は、雨さえも、楽しんでいるようだった。
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