Sweet・Travel

18/40
226人が本棚に入れています
本棚に追加
/447ページ
雨は、本降りになってきたが、智世は、なんだか嬉しそうにしている。 「なんだよ、ヘラヘラと…そんなに、相合い傘が、嬉しいのか?」 「うん…嬉しい♪ だってね、カップルなら、憧れる雨の定番だよ♪ だってね、こんなこと、誰とも、したことないんだよ…。 それを、浩史と出来るんだよ♪ めちゃくちゃ、嬉しいに決まってるでしょ♪」 傘を持つ俺の腕に、自分の腕を絡ませる…というより、しがみつく?…様な感じだけど、智世は、もう嬉々として、雨を楽しんでいる。 「ぴちぴち♪ちゃぷちゃぷ♪らんらんらん♪」 雨降りの童謡まで歌い出しちまった…。 まあ、機嫌いいから、いいかなぁ…。 見覚えのある通りまで戻ってきた。 「…智、あそこのカフェなんか、どうだ?」 「わぁ、オシャレな感じ。あすこでいいよ。」 「よし、決まりな。」 少し足早に、二人、歩く。 カフェの中は、少し混んでいるが、上手い具合に、二人用の席が、空いていた。 「お腹空いたぁ…。」 「じゃあ、適当に、見繕ってやるよ。」 セルフカウンターだったので、注文をしにいく。 「…お待たせ。」 「うわっ、美味しそう♪」 「こっちがな、コールドビーフのバルサミコ酢掛け、で、こっちがな、海老とアボカド、で、最後、こいつが、照り焼きチキン」 「なんか、豪勢なサンドイッチだね。」 「さあ、食べようぜ。」 「うん。」 ぱくっ… 「うふっ…なぁに、これ!美味しい♪」 「本当だ。旨い!」 二人の顔が、自然と綻ぶ。 智世が、ぱくついていると、浩史が、指をさす。 「ほら、ほっぺ。…ソース着いてるよ。」 「えっ?どこ?どこ?」 「じっとしてろよ。」 ペロッ 「キャッ!…もう!浩史!…そ、そんなことしないのよ!…は、恥ずかしいじゃない!」 智世が、あたふたしているのを、浩史は、ふふんと、鼻で笑って見ている。 「…後で、おぼえてらっしゃい!」 「覚えてたらね…。ほら、続き…。」 「えっ?続き?」 「食べろよ…まだ、いっぱいあるだろ?」 「わかってるわよ!…これは、私の分だから、あげないからね。」 「はいはい…。」
/447ページ

最初のコメントを投稿しよう!