Sweet・Travel

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明日、クルーズの船に乗るために、山を挟んだ、反対側の港町まで、列車で移動することになっていた。 切符の時間に、遅れないように、駅に着けば、何も問題は、なかった。 …時間は、たっぷりある。 二人は、もう一度、一から、確認しあえばいいだけだった。お互いの想いを…。 二人は、とてもやさしくて、綿飴のように柔らかくて軽く甘いキスをした。 「俺は、誰?」 「森本浩史…。」 「正解。…じゃあ、君は、誰?」 「私は…森本智世。」 「そうだよ。…君は、森本智世。 もう、清水智世じゃないんだよ。 …ここへ、君は、何しに来たの?」 「あなたと二人…新婚旅行よ。」 「そうだね…俺と、二人で…新婚旅行だよ。 ねっ、夢なんかじゃないだろう…?」 「うん…今、目の前に、浩史、いるもんね…。」 優しいけれど、今度は、深い長いキスをした。 「…どうしたい?」 「なんにもしなくていい…ただ、あなたを感じていたい…。 あなたに抱きしめられてるだけで、幸せ。 あなたの息遣いを、側で、聞くだけで、幸せ。 あなたの心臓の音を、聞くだけで、幸せ。 手をこうやって、絡めているだけでも、幸せなの。」 「…それだけでいいの?」 「うん…今は。」 「じゃあ、後では?」 「そうだね…いっぱいキスしてもらいたいなぁ。 やさしく抱きしめて欲しいなぁ…。 それから、浩史とひとつに、なりたい…。 あなたの腕に抱かれたまま、沢山、未来の夢を語りたい…。 そのまま、朝まで、寄り添って、眠りたい…。」
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