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「ねぇ、あの船?」
「ああ、そうだね、あれだ。」
翌朝、智世と、荷物を片手に、桟橋へ行くと、周りの船よりも、一回り大きな船が、一隻、停泊していた。
手元の船のチケットを、確認する。間違いない、この船が、これから一週間、俺達を運ぶ夢の揺り篭だ。
乗船時間になり、クルーに迎えられて、乗船する。
見上げるほどの船体だ、中は、めちゃくちゃ広かった。
あちこちに、案内のクルーがいてくれたので、間違わずに、部屋に着けた。
部屋は、シンプルな造りだが、快適さは、保障されていた。
「智、甲板へ行ってみないか?しばらく、陸とは、お別れだし、港が、一望できるよ、きっと。」
「うん!行く!」
部屋から、一番近い甲板デッキへ行ってみた。
俺達の部屋は、そんなに上の階層じゃなかったけど、それでも、桟橋からは、かなり高い位置にある。
「すごい高いね。」
「ああ、思った以上、高いね。」
見晴らしがいいから、かなり向こうまで見える。
「もしかして、あれが、昨日、ここに着いた時の駅かな?」
「どれ?」
「…ほら、あの奥、屋根が、一際大きい建物みえるだろう?」
「うん、見える!…結構、離れてたんだね、港と。」
そんな感じで、あちこちみていると、大きな汽笛が、ひとつ鳴った…出港だ。
港の桟橋には、見送りの人が沢山いる。
どんどんと、その人達も、小さく豆粒みたいになって、いつの間に見えなくなった。
船は、すごく快適だった。揺れも思ったほど酷くなく、船酔いになることもなかった。
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