【第1章】動き出す歯車

4/60
前へ
/64ページ
次へ
 かつて、一人の男が魔法という奇跡の技を生み出した。  彼は、北の大陸に暮らす人々に、魔法を伝授していった。そんな彼を、人々は《大賢人》と呼んだ。  北の大陸の人々は、彼の元に国を作り上げる。この国こそ、現在の《ソザード王国》である。  ソザードの人々は、フォーンを《魔導具》の核として利用した。  光魔法による外灯  浮遊魔法を利用した乗り物  そういった、魔法を定着させた物が、魔導具である。  これによって、魔導士でない人々も魔法を扱う事が出来た。  しかし、魔導具にも寿命が存在する。何故なら、核となっているフォーンには使用限界があるからだ。  フォーンとは、魔力を含んだ結晶である。当然、その魔力にも限りがある。魔力が無くなれば、フォーンはただの結晶となるのだ。  それを避けるために、ソザードではフォーンを循環利用する事にした。魔力の再注入を行うのだ。  それにより、フォーンの半永久的な使用を可能にしたのだ。  ソザードの町には、必ず魔導院という建物が存在する。魔導院とは、魔法を教え、研究する場所だ。  国民は20歳になるまでそこに通い、基本魔法や学問を学ぶのだ。  王都にはその魔導院の他に、もう一つ魔導院がある。  そこは、各地から魔法に優れた者達が集まる場所だ。《中央魔導院》と呼ばれる魔導院である。  中央魔導院には、ソザードの魔法の全てが集まっている。ここで魔法を学んだ者だけが、《魔導士》と名乗る事が出来るのだ。  彼等はみな、魔導士としての高い称号を目指してここで励んでいるのだ。
/64ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加