第四章-ハッピーエンドとエクスカリバー

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 二度目の不意打ちを読んでいたカスミの迎撃の回し蹴りが繰り出されるが、カマキリは空中で静止してそれを避けた。  間を置かずに落下する大鎌に合わせてカマキリが左右から突進。大鎌を最小限の動きで避けたカスミが、向かってくるカマキリに合わせて拳を振り抜く。  だが、直前で向きを変えられてまた躱される。しかも逆側から迫るカマキリは脹脛を削ると鮮血の尾を引いて逃げていった。  ヤバい。  マカだけが相手ならこちらに分があったが、あのカマキリどもに飛び回られると厄介だ。攻勢に出れないどころか、隙を狙ういやらしい動きで一気にこちらが不利になった。  4対3と数でも負けているのに、戦っているのは実質カスミとミオだけだ。新たな拳銃を拾い、マカの体を射抜くが全く効果が見られない。それどころかマカの目に俺は映っていない。  戦線に復帰したミオとカスミが地を這う大鎌を跳び越える。空中で隙だらけになったところをカマキリの追撃。ミオが空中で姿勢制御し、飛ぶカマキリに向かってリボルバーの引き金を引くという荒業で迎撃する。カスミに到っては空中で不自然な挙動で動きを止めると余裕で回避。  マカとカマキリの猛攻は続き、マカが鎌を振るとカマキリの連携が続き2人を翻弄する。攻め手が見当たらずに防戦一方。このままだと明らかに体力の消耗が激しい2人が先に力尽きる。現に、賞金稼ぎを追って走り回っても汗1つ流さなかったカスミの顔に苦悶が浮かんでいた。ミオの険しい顔も同僚に裏切られた怒りだけではなさそうだ。 「ふー……」  行くか。  無駄死になっても構わない。あの2人がやられたらどうせ俺も死ぬ。  工場の端から、死神の領域に自ら踊り出る。 「ほおおおおらあああああ」  わざわざ掛け声で合図を出すマカの大鎌をしゃがんでやり過ごすと、頭上を死の気配が通り抜けるのを間近に感じて総毛立つ。  舞い上がる埃を払い、マカの顔面を狙ってリボルバーが火を吹く。 「いたっ! いい加減にしろおおおおおお! マカのお顔に傷がついちゃったらどうするのおおおおおおお!」  そういえば虫には痛覚が無いらしいけど、魂喰らいはちゃんと痛みがあるようだ。痛みがあっても顔面に弾丸を喰らって死なないのはどうかしてると思うけど。  怒り狂ったマカの鎌が、俺を目掛けて2つ同時に振り下ろされた。
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