第一章-バウンティハンターとアイアンクロー

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 ただでさえ失業者が増えている日本にやってきた難民達は、結果として日本人の仕事を奪い、日本人の失業率を更に上昇させるものとなった。それだけで済めばまだ良かったのかもしれない。難民の受け入れに投入された費用は勿論国民の税金であり、日本人の難民に対する偏見は高まっていく。  難民側も十分とは言えない生活に不満を募らせ、隣国の復興支援のために増加した国際活動も相俟って、いつしか日本は日常的に凶悪犯罪が横行するアジアの犯罪大国となっていた。難民や移民の増加を犯罪率の増加に繋げるのは倫理的にどうかと思うけど、現実にデータとして出てるのだから原因がそこにあると考えるのも無理はないだろう。  人が多く行き来する場所では犯罪が起こりやすい。それが崩壊したアジアの玄関口、いや、捌け口となった日本の末路だ。……末路? いやいや、変化はそれだけでは終わらない。  目に余る治安の悪化と蔓延る犯罪の抑制のため、捜査特別報奨金制度、所謂懸賞金の対象となる事件が多様化していった。無論それは重犯罪者や指名手配犯、犯罪組織の早期発見に繋げる目論見の元で実施された苦肉の手段だったのだが、懸賞金は、また別の問題をも生み出してしまう。  賞金稼ぎの台頭だ。懸賞金を首からぶら下げた犯罪者を獲物にして喰らう狩猟犬ども。賞金稼ぎ。  戦争難民と犯罪の増加と、賞金稼ぎという三つ巴の災厄によって、日本は著しく住みにくい国へとなっていっていた。
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