3人が本棚に入れています
本棚に追加
8月上旬の陽射しが容赦なく照りつける。
私は鞄の中の折り畳み傘を使うことにした。日傘のかわりにはなるだろう。
周りを見渡すと意外とそうしている人が多かった。
それもそうだ。今日の暑さは異常なのだ。それに空は雲ひとつない快晴だ。
『長澤さんちょっとまって』
あまりの暑さにぼーっと立ちつくしていると後ろからゴリラの声が聞こえた。
『もういい加減にして!私に付きまとわないで!』
思わず叫びながら後ろを振り向いた。
『あっ…』
やってしまった…
そこにいたのはゴリラではなく隣のクラスの三木君だった。
『長澤さん…どうしたの?僕そんなにしつこいかな…』
『ち…違うよ!ゴリラかと思っただけだよ!ごめんね…三木君だったんだ…』
必死に言い訳をした。
なーんだと笑って三木君は何か差し出してきた。
『ハンカチ、ロッカーの前に落ちてたよ。長澤さんのだよね』
それはハンカチだった。どうやら何かの拍子に落としたらしい。
最初のコメントを投稿しよう!