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てゆーか本当に親父さん悪くない!
「うっ…ごめ、なさ…」
涙のせいで上手く話せない。
完全に頭に血の上っている永野には俺の小さな声は届いていないようで、今にも親父さんに殴りかかる勢いの永野を全力で抱きしめ返した。
「っ!祐希?」
「よかっ…止まった…」
僅かに落ち着きを取り戻した祐希が混乱したように俺を見降ろす。
クソ、身長高いなコノヤロー。
「親父さん、悪くねーから…落ち着いて。」
「…祐希、ゴメン…俺また…」
「うん、分かってるから。ありがとう、永野。」
落ち込む永野の頭をよしよしって撫でると嬉しそうに目を細めた。
はは、大きな犬みたいで可愛い。
永野が服の袖で優しく俺の涙を拭ってくれた。
「あぁー、ビビった。我が息子ながらスゲェ迫力。」
カッカッカと豪快に笑う親父さん。
あれ、本当にビビってたの?
「ごめんなさい、親父さん…俺のせいで…」
「なーに、気にするな。俺の方こそスマンかったな。」
「いえ…嬉しかったです、すごく。」
「ふ、そうか。」
親父さんが柔らかく微笑んで俺の方に腕を伸ばす。が、その手が俺に触れる事はなかった。
永野が俺を抱き締めたまま後ろに一歩下がったからだ。
「え、永野?どーした?」
「…別に。」
「あれ、まだ不機嫌?」
「普通だし。…祐希、親父も…ごめん。」
「「!」」
さっきキレた事を気にしているのだろう。
俺を抱き締めている腕に少し力が入った。
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