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…ん?永野?
思わず隣の永野を凝視する。
すると俺の視線に気づいた祐希が俺の顔を笑顔で覗き込んできた。
「なーに、祐希。俺の顔になんか付いてる?」
「あ、いや。え、永野?」
「うん。永野朝也です、コンニチワ。」
「いやいや、お前の名前は知ってるよ。じゃなくて、何で親父さんと帰ってないの?」
ふと、さっき玄関前で足に当たったものを思い出した。
「あ、あの鞄って…!」
「正解~。あれは俺のお泊まりセットです。」
「何だよ、そうならそうと先に言え。」
「へへ。ビックリしたでしょ。」
「当たり前だ。ったく…」
こっちはしばらく会えないのを覚悟したってのに。
寂しいと拗ねて泣いたさっきまでの自分を思い出すと恥ずかしくて堪らないっ!
だけど同時に明日も永野と一緒に居られるのが嬉しくて、どうしても頬が緩みそうになるのを手の甲で隠した。
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