【開かない扉】

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踵を返して青い扉が目立つ自分の部屋へ速足で向かう。 後を追って駆けてきた永野が俺の顔をヒョイっと覗き込んできた。 「はは、やっぱり顔真っ赤。」 「!!」 「そんなに俺が帰らなくて嬉しかった?」 「…うれしい。ありがとな。」 素直にそう言えば永野は満足げなニコニコ顔で。 そんな永野につられて俺も自然と笑顔になる。 肩を並べて狭いアパートの階段を登り、青い扉を開けた。 今日の夕食は永野の好きなものを作ろう。 会えない間の分までいっぱい話して、眠くなったら額を合わせて夢を見る。 あの日当たりのいい部屋で朝日を受けながら目を覚まして、最初に見るのは優しく微笑んだ永野の顔。 うん、すっごく幸せだ。 これなら明日、笑顔でさよならできる。 大丈夫、寂しくない。 きっとまた、すぐに会えるんだから。
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